タキタロウ

タキタロウ伝説と目撃談


  タキタロウ伝説

[伝説の巨大魚『タキタロウ」は秘境・大鳥池にいる]

 朝日連峰の北端、以東岳の北西麓にある大鳥池は、奥深いブナの原生林に囲まれだ山上湖で、ここに里の人間が近付くと雨が降るという言い伝えがある。そして、「出羽の国、大泉荘の千丈五嶽の麗に深谷現ノ池という大池あり。池は歪形なれど方一里許り。池中に怪魚棲み、その大いなるは五尺、ロは兎に似て、味は鯨の如し」との古い伝説があり、昔から巨大魚の存在が認められていたようだ。
 昭利57年、山形市からの一行4人が以東岳の直登尾根で大鳥池の湖面を泳ぐ巨大な魚の姿を確認したことから、伝説の怪魚「タキタロウ」は一躍全国の注目を集めた。その魚が泳いだあどにはクサビ形の大きな波が長く尾を引き、目視できた部分だけでも1mばあった。全体では2m以上あったのではないかどいうこどだった。
 朝日村では昭和58年から調査団を派遣し地道な研究を続けているが、いまだ「タキタロウ」の全容は明らかではない。
 大鳥池は約2万年前に堰止湖として形成されたという説がある。それが本当だとすれば、ウルム氷河期の最盛期にあたり、地球がもっとも寒かった時代だ。そのような時代に魚の祖先が陸に封じ込められたならば、独自の進化をとげたとしてもおかしくはない。その生き延びたものが「タキタロウ」だとしたら・・・・・。実物を捕獲した上で調査しないかぎり確かな事は何も分がらない状況だが想像はふくらむばかりである。

タキタロウは確かにいる!その目撃談・体験談

[工藤与一さん談]

 今から25年前頃に毎年1匹ずつ、4匹補まえている。釣れた時期は水が冷たくなる9月頃、特に西沢ロ・西ノクラに大きいものがいた。タキタロウは長さのわりに巾(体高)があり、ぬるぬるして手でつかめない。いずれも焼いて食べたが実にうまい。オイオ(海水魚の俗称)のような味がした。
 20年ほど前、ゼンマイ採りの時期に舟で中沢ロへ着いたとき、ガザの花の下で浅瀬の水がガバッと大きくわれ、水面に長く尾を引きながら沖へ泳いでいくタキタロウを見た。1m50cm位はあった。

[大滝芳雄さん談]

 昭利44年9月15日,朝日スーパー林道の路線調査のため源太沢上流の化穴山付近を調査査中、大鳥池で夕食の賄いにイワナをどっておくようにと工藤与一氏に頼んで早めに下山させた。一行が大鳥小屋に着いたところ、イワナに混じってタキタロウを1匹釣リ上げてあった。東沢河口で、餌はミミズ。時刻は夕方。体長1尺3寸8分、体重670g。食べようとしたが珍しいので村役場の教育委員会に連絡、当時の教育長伊藤勝雄氏が標本にした。現在、朝日村山村開発センターに展示してある。


(2000.05.28 タキタロウ祭り資料より)


                                  
更新日2000年6月1日