「釣人よいずこにゆく」
今西錦司著
 「山の中へ入って、欲するときに釣り糸をたれると、たちまちにして30センチ近い、イワナやアマゴガかかってくる、というのだったら、これは確かに、登山術の奥儀の一つに数えられてもよい。そう思って釣りのけいこをはじめたが、もう数年たつのにいっこうに上達しない。釣という奴は、名人といわれるほどの人にだって、やはり釣れない日があるに違いない。どんな条件のもとにあっても、欲するままに釣る、というような境地を考えたのは、どうやらこちらの思いすごしであったらしい。岩や雪を相手にしているほうが、まだよっぽど確実である。」

「釣りー自叙伝風に」
今西錦司著
 「山登りに忙しかったあいだは、釣をしてみようなどという心のゆとりもなかったし、また釣りはだれにでもできるわざではない、と考えていた。だから、たちまち山の中で釣師に出あって、そのえものを購いえたならば、それは一つ山幸であり、貧しい山の食糧が、それによって豊かになったばかりでなく、われわれはまた山で、しばしば魚釣りのつけた小径を利用し、その掛け小屋をテントがわりに使用さしてもらったにもかかわらず、山において、われわれ山登りするものと魚釣りとは、けっきょく別々な世界にすんでいるもの、というように考えていた。山でけものを追う猟師の場合だって、同じことがいえるであろう。」

ハンドルネーム Lucky
性  別 男性 
趣  味 渓流遡行、渓流釣り、登山、スキー、スケート
コンピュータ-、
好きなもの 酒、山